ちいさな洞窟

娘との日々

公苑のポニー

田園調布駅はバスターミナルになっていて、

ここからふたりでバスに乗り、あちこち出かけました。

 

そのうちのひとつに馬事公苑(ばじこうえん)があります。

電車でいくと最寄りの用賀駅からかなり歩くのでたいへんだけど、

バスだと公園のすぐそばに停まるので気軽に出かけられました。

 

ちーちゃんが1歳から2歳のころ、

ここに、10回くらいかな、足を運びました。

 

馬事公苑に足を踏み入れると、目の前に馬の競技場があります。

ここの客席に座って馬術の練習風景を一緒に見学しました。

競技場の外でも、厩舎に帰るのか、ぼくらの目の前を馬たちが歩いて

いたこともあります。

黒や茶色に光る、ひきしまったその体は

近くで見るとひときわ大きくて、あなたも興味津々だったようです。

 

競技場から奥に進むと、そこは緑豊かな広大な公園になっています。

ハンドルのついた遊具にのって遊んだり、池のわきの小径を歩いたりしました。

三つ葉のクローバーを集めた記憶もあります。

 

公園の一角に、ポニーが何頭か飼われていました。

そのうちの一頭で、黒ぶち毛のかわいらしいポニーがいたのを覚えてる?

パネルをみると、名前は「エルサ」。

あなたと同じ年に生まれ、なんと月日まで同じでした。

 

そのエルサを最後に見たのは2016年10月だったはずです。

馬事公苑はその後、オリンピック実施の準備のために建て替えをするとのことで、

閉鎖されてしまったのです。

あなたはこれを知って、がっかりしていたね。 

 

公苑の再開は2022年の秋だと聞いています。

またエルサに会えますように。

 

どうしてこの馬事公苑に、何度も足を運んだんだろう。

なぜかというと、この場所は、風通しがよく、

日当たりのよい広々とした空間があるからだと思います。

(ちかくの砧公園も開放的で、同じような雰囲気があります。)

 

小さなあなたを連れて散歩をするのに、とても安全で、気持ちの良い場所でした。

あなたの小さな手を引いて歩くのが、ほんとうにたのしかった。 

 

公苑周辺には、ほかにも楽しい場所がいくつかありました。

 

東京農業大学が運営する博物館と小さな食堂、

馬事公苑よりはずっと小さいけど、ちょっとおもしろい遊具のあった上用賀公園、

絵本がたくさん並ぶ蔦屋書店、

じぃじやばぁばと一緒にランチをしたこともあるロイヤルホスト

そんなところに、一緒に行きましたね。

 

なかでも博物館の地下にある小さな食堂はあなたのお気に入りでした。

なぜかというと、メニューのなかに、あなたの大好きな

ミートソーススパゲティがあったからです。 

 

いつもかならず、ミートソーススパゲティを食べていましたね。

食堂はだいたい空いていたので、ここでゆっくりランチをたのしみました。 

 

同じ建物の2階には鶏のはく製が並んでいて、これをあなたは恐れていました。

体を固くして、2階に行くのを嫌がっていましたね。

1階では、生きたリクガメやチャボを飼っていて、ふたりで眺めました。

 

遊び疲れたあなたは、帰りのバスで、いつもぐっすりと寝ていましたよ。

 

いま思い出したけど、用賀駅から公苑まで一緒に歩いたことが2、3度ありました。

30分以上は歩いたはず。ほんとう、よく歩いたこと。

ちーちゃんの健脚については、改めて書きますね。