ちいさな洞窟

娘との日々

演出家

ちーちゃんは、おままごとを始めると、

突如、演出家に変身します。

 

あなたが我が家で繰り広げた

数々のおままごとの舞台。

あなたがその舞台にかける熱意は相当なものです。

 

操る人形はメルちゃん、シルバニアファミリー

リカちゃん、そしてたくさんいる

ぬいぐるみたちです。

(じぃじからプレゼントされた

ピンクのクマ「よっちゃん」がお気に入りでした。)

 

近所のお友だちが訪ねてくると、

折りたたみ式の小さなビニールテント小屋を

広げて遊びましたね。

 

参加者は、お母さんやばぁば、

そしてHちゃんたちお友だちです。

誰と遊ぶときも、

あなたの演出家魂に揺らぎやためらいは

まったくありませんでした。

そのブレない姿勢に

ぼくはたくましさをおぼえました。

「おままごとに、おおまじめに取り組み、

そしてたのしんでいる。」

そういった感想をもったものです。

 

ぼくら参加者は人形と役割を与えられました。

話すセリフにはあまり自由がないときも…。

そう、あなたは演出家と同時に

脚本家も兼ねていたのです。

 

「『こんにちは、あそびにきたよ』っていって!」

「まだ、でてこないで。そこでまってて。」

「『このケーキ、あまくておいしいね』っていって!」

「このクルマにはふたりでのってね。」

「かみはこうやって、とかしてね!」

 

そんなふうに、矢継ぎ早に指示が飛びます。

人形たちの世界に入ると、

すべてのハンドルはあなたが握りました。

 

とっても豊かな創造性と

指導力を発揮する

そんな様子をなんども見て、

ぼくは「この子は将来、演出家になる」

と確信しさえしました。

 

大人はタジタジに…いや、舌を巻いていました。

ばぁばも、よくあなたの世界に入って

たのしそうに小芝居をうっていましたが、

30分もすると、体力が続かずに、

フラフラになっていたような気がします。

 

いちど舞台の幕が開くと、

終演はだいぶ先になります。

ほんとうに誇張なく、

かなりの体力と集中力、

そして座力を求められましたよ!

 

部屋いっぱいに人形をならべて、

まさに盛大にお茶会を開こうと

準備しているところで、

実はぼくはそっとその場を

離れたりもしました(汗)

 

そうやって、幼いころから

ユニークな世界を築いてきた、ちーちゃん。

 

あなたのなかには、

登場を待つキャラクターが

まだ何人も眠っているはずです。

それぞれ豊かな個性をもつキャラに

違いありません。

 

もっともっとその世界を広げていって、

たのしんでほしいなと思います。