ちいさな洞窟

娘との日々

ゆび人形の絵本

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うちにある唯一の指人形絵本
 
2014年8月、表参道にあるお店「クレヨンハウス」で、まとめて絵本40冊ほどを買った話は以前しましたね。あらかじめ用意した、買いたい絵本の候補リストを店員さんに渡して、店内にある大きな丸い木のテーブルに運んでもらいました。店員さんには迷惑だったかな? でもたしか空いている時間をねらってお店を訪ねたはずです。店員さんは手際よくリストにある絵本を棚から探してテーブルに運んでくださいました。ぼくは一冊一冊、実際にぱらぱらとめくってみて、買う本と買わない本を選んでいきました。
 
『がたんごとんがたんごとん』『きんぎょがにげた』『おててがでたよ』『まてまてまて』『いいおかお』『くんくん、いいにおい』『せんべせんべやけた』『ちびゴリラのちびちび』…。そのときにこれらのナイスな絵本に出合うことができ、ちーちゃんは何度も繰り返し読むことになります。これらの本は棚に並べて大事にとってありますから、また読もうね。
 
このクレヨンハウスは素敵なお店です。ぼくは20歳代のころ、ここで働きたいと思い募集要項をとりよせたこともあるくらいです。幼児向けの本やおもちゃをそろえ、出版活動も行っています。地下にはオーガニックのレストランも備えています。ビュッフェ式のレストランで、お母さんも一緒に3人で食事したこともあるんですよ。あなたは、ひよこ豆のカレーのようなものを食べたような記憶が、うっすらと、残っています。
 
さて2014年8月に買った絵本のなかの一冊が、写真にある「ちびねずみ」の絵本です。各ページに、ちびねずみが描かれていたり、隠れていたりします。そのちびねずみは、ゆび人形になっているので、ぼくが指を入れ、動かしました。
 
「チュウ、チュウ。ちびねずみだぞ~」と登場すると、まだ赤ちゃんのちーちゃんは不思議そうな顔をしながら、眺めていました。その後、慣れてくると、ねずみを指で触ってみたり、握ってみたり。クチで捕まえてみることもけっこうありましたね。いま、本のなかにいるちびねずみの人形を見ると、うっすらとあなたのおしゃぶりのあとが残っています。
 
あなたは、しばらくの間、たぶん1年半か2年間ほどは、そのちびねずみをぼくが操っていることを知らなかったはずです。ぼくの指が入っていることにまったく気がついていない、ちーちゃん。というか、本物とか偽物とかいう大人の基準ではないですね。まったく疑いもなく、その物語をたのしんでくれました。
 
ある日、あなたは、ゆび人形を強く握りました。「なかに、おとうさんのゆびがはいっているでしょ?」という感じで、ぼくの指の感触を確かめていました。「あ~、バレちゃってた」とぼくは思いました。それでも、そのあともずっと、この絵本をたのしく読みましたよね。