ちいさな洞窟

娘との日々

絵本をひとりで読み始めた。

ちーちゃん、

あなたと過ごしたこの5年3か月間のことを、少しずつ、書いていきたいと思います。

 

ちーちゃんのことを、なんて呼ぼうかね。

「あなた」? 「きみ」? 

 

このブログでは「あなた」にしようかな。

子どものころ、父(ちーちゃんのじーじ)から「きみ」と呼ばれるたびに、

ちょっと圧力を受けるような気がして、気分がわるかったんだ。

 

自分のことは「ぼく」と呼びます。なんとなく。

 

ところで、あなたの前では、自分のことを「お父さん」と言っていましたが、

たまに「おれ」と言っていたのを覚えてる?

 

「おれ」のほうが「お父さん」より短くて言いやすいし、

ちーちゃんと、ひとりの個人として相対できる気がしたんだ。

そんなときは、あなたのことを「ちーさん」と呼んだりもしました。

ぼくとしては、あなたを尊重する姿勢を表したつもりでした。

 

「尊重」というワードは、この5か月間、お母さんに何度も手紙で伝えたものです。

いずれ「尊重」とは何なのかについて、書けたらいいな。 

 

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一緒に読んだ絵本の話をします。

 

2019年の初夏、ふと、6畳の部屋を見ると、ちーちゃんは寝っ転がって、

上を向いて足を組んで、手に持った絵本を読んでいました。

眺めるというよりは、しっかりと読んでいる感じ。

読み始めてから10分は経過しているというくらい、その畳のうえに納まっている。

 

そのとき、「ちーちゃん、大きくなったなあ!」と感心したものです。 

積み木やママゴト、お絵かきに熱中しているあなたを見る時とは違う感覚でした。

何か突然大きく成長したような姿をそこに見たのです。

 

読んでいたのは『人体』という科学絵本です。

たしか自由が丘のブックファーストか、駅ナカの本屋で買ったその絵本に、

その頃、あなたは熱中してました。

夜、眠る前に、何度も一緒に読みました。

長い絵本なので、毎夜、一章ずつ、読み進めました。

コミカルなタッチの本だから、ときどき、ケタケタ笑っていたね。

 

宇宙の星からきた女の子が、母を救うために人間の体について学ぶなかで、

ついにはミクロ宇宙船に乗って、人体内部を冒険していくというストーリー。

専門用語がたくさん使われているし、図説も本格的。

そんなムズカしい本に熱中して、どんどん新しい言葉を覚えていきましたね。

 

食事をしているとき、栄養は「吸収(きゅうしゅう)するんだよね?」と

あなたが言ったときは驚きました。

あなたは、ちょっと得意そうでした。

 

 

記録を読むと、

「ひとりでもすらすら読めるようになってえらい」(2019年8月10日)。

「気づくとひとりで本を読んでいる。

きのうも三冊くらいずっとソファでひとり読んでいた」(2019年9月17日)

と、5歳にしてあなたがすでに読書に熱中していることがわかります。

 

そんなちーちゃんと次にどんな絵本を一緒に読もうか、

どんな絵本をちーちゃんは読みたいかなと思って本屋に行くのが、

ぼくの大きな大きな楽しみのひとつでした。