ちいさな洞窟

娘との日々

山茶花

まだ、ちーちゃんが赤ちゃんだったころ、

抱っこひもであなたを抱えて、よく散歩に出かけました。

ほんとう、たくさんの場所に出かけて、いろいろな景色をたのしみました。

 

エルゴベビー社の抱っこひも(グレー)は、前向きで抱っこができるので、

ちーちゃんは毎回、前を向いて、景色を見ながら散歩したんだよ。

まだちーちゃんはおしゃべりできなかったけど、

ぼくは、鳥や花やモノのなまえなどを伝えながら歩いて、

あなたといっしょに散歩をたのしみました。

 

多摩川駅にある田園調布せせらぎ公園にも、よく出かけました。

(駅の反対側には多摩川台公園浅間神社があって、ここもよく遊びにでかけたね。)

 

ごつごつした石でできた長い長い階段が特徴的な公園で、

歩けるようになってからは、途中で休憩しつつも、

あなたはしっかりここを登り切っていましたよ。

 

ここは、ほんとう緑豊かで、鯉が棲む湧水池や、小さな滝もある素敵な公園です。

芝生にシートを敷いて、じぃじやばぁばも交えてピクニックをしたこともあります。

 

ある日、抱っこひもであなたを抱えて散歩したとき、

公園の中心に流れる小川のほとりに咲く山茶花を眺めました。

ぼくは、あなたに 「わあ、きれいだね」と声をかけたかもしれません。

 

すると、あなたは山茶花の花に、

その小さな人さし指を向けました。

 

あなたが何かに向けて指をさす仕草をしたのは、この日が最初です。

「そうだね、きれいだね」と返してくれたように思って、

とってもうれしく感じました。

 

山茶花はきっといまも、せせらぎ公園に咲いていますよ。

またいつか、いっしょに見に行きたいな。 

 

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あなたの小さな手。2014年4月16日、せせらぎ公園にて。