ちいさな洞窟

娘との日々

かくれんぼ

 

かくれんぼは急に始まりました。

 

おもに雨の日や、日の暮れた夕方以降、家のなかで繰り広げた、かくれんぼ。とてもたのしい遊びの時間でした。

 

6畳二間の狭い家で隠れる場所は限られています。鬼になったぼくが、たとえば20までカウントして、「もー、いいかい?」というと、ちーちゃんは「もー、いいよ!」と応えてくれました。大きな声なので、どこにいるか、バレバレです。

 

替わって鬼になったちーちゃんが10とか20まで数えて「もーいいかい?」と聞くと、ぼくはどうしていいかわからず、小さな声で早口に「まだだよ」と答えました。するとあなたは「え、なに? まだなの?」と聞き返してきましたね。ぼくはまた小さな声で「もういいよ」と答えたりしました。

 

あなたがよく隠れたのは、カーテンの裏。そして、押し入れの上段。ぼくがあなたを発見しても、あなたは体を動かさず隠れたままです。透明人間になったかのように隠れ続けています。こうやっていま書きながら、そのときのあなたの表情を思い出すと、思わずフフフと笑みがこぼれてきます。

 

あなたは体も顔も、目すら動かさず、石のように固まったまま。ぼくは「あれ~? ちーちゃん、いないなあ。どこに隠れてるんだろう?」と言って、いったん引き下がり、ほかの場所を探し始めます。そしてしばらくすると、あなたは緊張の糸を解いて、「ここだよ!」と現れたりしましたね。

 

ぼくはトイレのなかやお風呂場の扉のかげに隠れました。ちーちゃんは暗がりが大嫌いです。だから暗い風呂場やトイレには探しに来られなかったんですね。とても怖がりのちーちゃんでした。

 

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会社へ向かう道すがら撮影した紫陽花。前回撮影時から、つぼみが少し大きくなっています。