ちいさな洞窟

娘との日々

『はっけん』 03

(「『はっけん』 02」からのつづき)

 

よし、『はっけん』で下調べを終えたらフィールドに出よう。ということで2018年6月17日、目黒にある自然教育園に出かけました。家から30~40分程度で行けるこの自然園をちーちゃんといっしょに訪ねるのは意外にもこれが初めて。もっと早くに来るべきだったと軽く後悔した気がします。ぼくは高校生のころ、学校からほど近いこの自然園へは友だちと何度か訪れましたが、そのときに味わった、都会でも自然環境に身を置くことができるという経験を、すっかり忘れていました。


ゲートをくぐってすぐの建物で、蝶が成長する様子を撮影したビデオを見ることができました。録画内容は、成長する過程を早送り再生したものなので約10分間くらいのビデオだったと思います。たまごから幼虫に、そしてさなぎになり、羽化して成虫になるまでを録画したものです。この成長を「変態」と言います。姿を変えてまったくちがう形へと成長する様子は驚くべきものでした。

 

その日は、多くの木や花に囲まれたこの教育園をゆっくりと他の誰よりも時間をかけて散策して、虫や鳥、池の亀、植物を見ることができました。そしていっしょにベンチに座って、おにぎりを食べましたね。ちーちゃんはシーチキンだったかな? おかかだったかな?

 

ちょうどこのころには、昆虫の足の数や、頭に足のようについているものが「しょっかく」だということを知っていましたね。あるとき幼稚園でH先生に褒められたことがあります。「ちーちゃんは今日、クモの足の数が8本なのは『こんちゅうじゃないからだよ』と皆に教えてくれました」と。


『はっけん』を読む前ではあるけれど、新木場にある夢の島熱帯植物園にもふたりで行きました。2017年10月15日のことです。熱帯雨林の森を再現したこの温室の木々は、緑が深く、濃く、はげしい生命力にあふれていました。専門スタッフに同行してもらい、解説を受けましたが、あなたはあまり乗り気でなかったですね。バニラの木の甘いにおいを嗅がせてもらったことを覚えていますか? アイスクリームで感じるバニラのにおいよりも、素朴で、でももっと力があふれるようなにおいでした。ちーちゃんは植物たちの圧力に気圧されたようでした。南国の木々は、色もにおいも、日本の植物にくらべてなおいっそう強烈な感じがしますよね。「早く、この気味のわるい場所から逃れたい」という気持ちが表情にありありと出ています(でも「かえろう」と言わないのは、我慢強いから?)。

 

植物園のなかに、ハロウィンの仮装服を着て撮影できるコーナーがあり、そこで着替えて変身したころには、ちーちゃんの機嫌も無事に直っていました。ホッ (´▽`)