ちいさな洞窟

娘との日々

帰り道

前回の記事で、2018年と2019年の夏が酷暑だったことを書きました。

ほんとうに暑くて、ぼくは正直、耐えられないかもと思いましたが、

ちーちゃんはまったく弱音を吐きませんでした。

 

ひざの裏側や腰、背中に、あせも湿疹が出ましたが、

発熱をしたり、病気になったことは、ほとんどありませんでした。

 

毎朝、お母さんと歩いて幼稚園に通い、

午後はお友だちといっしょに、やはり徒歩で、元気に帰ってきました。

 

ところで毎朝、園に向かう道の途中、Hちゃん親子と合流したあとに、

介護施設で運転手をしているやまちゃんとお話ししたのを覚えているかな?

ニューヨークでタクシー運転手をしていたという元気なおじさんと

「ハロー!」とあいさつを交わして、かわいがってもらったね。

 

特にちーちゃんが暑さに強いとぼくが感じたのは、幼稚園からの帰り道でした。

毎週水曜日、午後2時の降園時のお迎えはぼくでしたが、

英語クラスがないときは、お友だち3、4人と一緒に帰りました。

 

最初の登り坂の手前あたりまではみんな歩いていくのですが、

登りはじめると、誰かが急に走り出します。

そしてちーちゃんやみんなも走って追いかける。

Hちゃんは足が速くてずんずん先に行ってしまいます。

男の子たちも元気に走っていきます。

大人たちはヨタヨタ走って、あるいは自転車で、追いかけました。

 

Aくんは寄り道が大好き。

あなたもいっしょに空地や駐車場で石を拾い、

草をかき分けて、空地の隅に行ったりしていました。

三つ葉やねこじゃらし、ススキを集めましたね。

 

暑いなかでも、あなたはへっちゃら。

ほんとうに元気だなあと感心しました。

 

帰り道の中盤では、アイスクリーム屋さんをオープンしました。

1Fに小さな美容院が入居するマンションの1階階段の横で、

みんなが子ども店員さんになって、チョコやバニラのアイス、

イチゴアイスなんかを作り、売ってもらったなあ。

心が涼しくなったものです。

 

帰り道の終盤は、Hちゃんと帰ります。 

最後、五差路に生える柳の木の下で、ふたりは手を合わせていました。

柳の木には神さまがいたかな?

Hちゃんとは、あたりに響く大きな声で「バイバーイ!」と言って、

お別れしましたね。

 

毎日、通園・帰宅といっしょだったHちゃんとは長い付き合いです。

実はふたりが生まれる前から、お腹のなかにいるころからの付き合いです。

 

ぼくは、等々力で区が開催した「両親学級」にお母さんと参加したときに、

Hちゃんママに初めて会いました。

お母さんはもうお腹が大きくなっていたはずですが、Hちゃんママはあまり

変化がないようで、人それぞれなんだと思ったことを記憶しています。

 

その日は、親になる心構え、沐浴の方法、おむつの替え方、

父親は胎児と同じ重さの人形を抱えて妊婦体験をしました。

区は、フィンランドの支援制度である「ネウボラ」に倣い、

こういった妊娠期からの育児へのサポートが手厚く、充実していました。

 

前に書いた、子育て児童ひろばもその手厚いサポートのひとつですし、

歯科検診、定期健診、離乳食教室なんかもしっかり実施してくれました。

記録によると離乳食教室には2015年1月に参加し(おそらくお母さんだけで)、

あなたは離乳食を2015年5月下旬に始めたようです。

保健師が自宅まで来てくれ、健康チェックをしてくれたこともあります。

 

さて、思い出すと、幼稚園からの帰り道には、

駅前の噴水広場に行くこともあったかな。

ここは、ぼくらふたりのお気に入りの場所です。

あなたは噴水を囲む石垣の上に乗って、ぼくと手をつないで、

ぐるぐる何周も噴水のまわりを回ったことが、何度もありました。

 

小さな噴水だったけれど、暑い夏でも水の音でホッとできる憩いの場所でした。  

タバコを吸っているひとがいなければ最高の場所だったんだけどなあ。