ちいさな洞窟

娘との日々

ココナッツをはこぶアリ

初日と3日目をすごした公園。人もすくなく、広々としています。木陰にテントを張りました。

待ちに待ったゴールデンウィーク。今年はちーちゃんと二人でゆっくりとすごすことができました。初夏のやわらかい日差しのもと、たくさん歩いて、走って、食べた、3日間でした。

 

人出の多い場所をさけて、街とは反対の、山や森のほうに、出かけました。新緑にあふれた自然を満喫することができて、ほんとうにしあわせな時間でした。

 

上の写真の中央に見えるのは、秘密アイテムのテントです。今回、こっそり内緒で持っていきました。「え、なに、テント持ってきたの!? やったー! テントに入るのなんて初めてだよ!」。ちーちゃんはえらく喜んでくれて、たいへん気に入ってくれました。少し重たかったけれど、持っていってよかったです。初日は風が強かったけれど、丈夫で、安定していました。両側面の網目が蚊避けにもなるテントです。骨組みの組み立てやペグの設置などの設営を手伝ってくれたちーちゃんをいま思い出して、お姉さんになったんだね、とぼくはしみじみとしています。

 

公園から歩いてすぐの、少し古びたホテルには今回、初めて泊まりました。不思議な雰囲気の場所です。ロビーにある木製の大テーブルは 長い胴体の竜、猿や虎などが立体的に彫ってある、なんだか怖いテーブルで、ちーちゃんは興味津々でした。このホテルから歩いていける場所に大きなショッピングモールがあり、食事や買い物で合計4回も出かけました。GWだというのにここはそれほど混んでおらず、初日の夜はライトオンでショッピング。一目見て、肩が出た紫色のシャツを気に入ったちーちゃん。目を輝かせてシャツを手に取っています。ほしい気持ちが表情や態度に出ていますが、どうしても買ってほしい、という素振りやアピールがあるわけではありません。この日に限らず、最近のちーちゃんは、服や道具の買い物に関しては、なぜかわりと控えめですよね。むしろ食べ物に関して、強く意思を表すように思います。この紫のシャツとワンピース、そして良い感じのダボパンツがあったので試着してみました。結局、パンツは130cmの在庫がなく、140cmを試しましたが、丈が長すぎました。130cmのシャツとワンピースを買いました。「2つも、いいの?」と喜んでくれました。こんど会うときはぜひ着てきてね。

 

ホテルの室内で。

 

夜、ベッドの上で恒例の飛行機ごっこなどをしてから(重くてだんだん不安定な飛行になってきています!)、『グリムのゆかいなおはなし』を一緒に読みました。主人公のコッティがあきれるくらい「マヌケ」なひとで、読み進めても、お話しがどこに向かうのかよく分かりません。しまいには「この絵本、つまらない! ちーちゃんは本はもう自分で読むんだから!」とそっぽをむいてしまい、そのまま寝る態勢になってしまいました。もう夜10時をすぎていたので、眠かったんですね…。次の日の夜になると「お父さん、グリムのお話し読んでー」と言ってくれました。やはりマヌケなコッティの話です。まだまだお話は終わらず先の見えなまま続きそうです。次回会うときにもまた一緒に読みましょう。どんな結末を迎えるのか、正直ぼくはとても気になっています。

 

2日目、朝はゆっくり8時頃に起きて、身支度を整えました。ちーちゃんの寝顔を見るのは1か月に一度。スヤスヤと寝ている間に思わず写真をパチリとしてしまいます。ちーちゃんが大人になってそんなことをしたら、きっとイラっとされるはず。いまのうち、いまのうち。

 

エバンゲリオンのキャラが大好きなちーちゃん。駅構内に描かれたキャラをバックに何枚か写真を撮りました。

 

本丸に続く立派な石段を登っていきます。

初夏の清々しい青空が気持ちよいです。単線のローカル鉄道に乗って河を越え、駅員のいない小さな駅で降りました。他に降りる乗客はひとりもいませんでした。スマホの地図を頼りに、小高い丘を登って公園に向かいました。急な坂を見上げて、ちーちゃんは早くも音を上げてしまいました。「つかれたー。」「もうちょっとだ、がんばろう!」。木々がうっそうとする丘の頂上に着きました。ここは古いお城の跡だそうです。城の石垣や立派な幅広の石段を進み、森の中に突如現れる、場違いなほどの長い滑り台で遊んだあと、中心部の本丸跡にでました。そして、よい木陰(こかげ)を見つけ、テントを張りました。きのう一度、経験しているので、ちーちゃんは率先してテントの組み立てをしてくれました。手際がよくて頼もしい! それから、おかあさんに用意してもらった絵の具を使って絵を描いたり、芝生の上でおいかけっこをして遊びました。

 

絵の具でお絵かきをしました。ちーちゃんが思っている以上によく描けていますよ。あきらめないで!

 

城跡からの眺め。ちーちゃんはもっと開けた景色を期待していたようですが。

この公園を訪れるひとはだいぶ少ないようで、のんびりとした空気が流れています。自然あふれる公園には、ぼくらがいる間ずっとさわやかな風が吹いていて、新緑の木々をゆらしています。お絵かきを終えると、ちーちゃんは地面を覆うシロツメクサを集めて、ブレスレットを作りました。

 

ランチタイムになるとぼくらは丘を降り、人の気配がする町のなかに入りました。このちいさな町でただ1軒、ポツンとあるラーメン屋が目当てです。着いてびっくり、店前に行列ができていて15人ほども並んでいます。ぼくたちは30分以上も待ったでしょうか。やっとキッチン前のカウンター席に通され、ちーちゃんは醤油ラーメン、ぼくは味噌ラーメンと餃子を1皿、注文しました。カウンターに正座して食べる、ちーちゃん。お昼のピーク時間を過ぎ、座席はすでに空き始めています。なんだか時間の流れがゆっくり。ひさしぶりに田舎に来たな~と感じました。

 

民家の並ぶ道で石けりをしながら、テントを張ったままの公園に戻ります。先の急な坂で、ついにおんぶして進むことに。重いけれど、まあいいか。丘の上にある公園とラーメン店を往復したせいで疲れてしまいましたね。お昼のランチをあらかじめ買っていけばよかったと反省しました。

 

本丸跡に咲き誇るシロツメクサを摘んで花束をつくりました。

午後は、テントで30分ほどお昼寝をして、そのあと、シロツメクサをたくさん集めて、こんどは花束を作るのに熱中しました。きれいな花束だったなぁー。5時が近づき、周りのひともほとんど帰ってしまいました。ぼくらもテントをたたみ、帰ることにしました。ぼくはこの公園のゆっくりとすぎる時間が名残惜しかったです。ちーちゃんは、丘を降りるとき、さっきとはうって変わって元気よく走り始めました。下りを走るスピードの速いこと。鹿のように軽やかに疾走しました。フルマラソンを走った後で多少、足を痛めていたこともありますが、本気で走ってもぜんぜん追いつけなかったです。そのまま、どんどこももんちゃんのようにコロコロ転がってしまわないか心配になるほど速かったです。

 

1時間に1本しか来ない単線のローカル電車。運よく、駅についてほどなく電車が来ました。

3日目。前日の反省もあり、ランチ持参で公園に行くことにふたりで決めました。朝、モールへ向かう道の途中に、ラジオ体操会場の看板がかかる小さな公園があり、そこにかわいい柴犬がいました。テントを張った公園でも柴犬を何匹も見ました。この地域は、柴犬を飼っている人が多いんだなあ、とちーちゃんと話しましたね。その公園の鉄棒やブランコで遊び、初日と2日目に食事をとったショッピングモールにまたも来ました。お寿司(納豆巻、かんぴょう巻、お稲荷さん)とデザートのミスタードーナッツを買いました。おもちゃ売り場で青いビニールボールを見つけたので、これも買いました。

 

たまに会うのだから、甘いもの、たくさん食べても罰はあたらないよね。

 

ちなみに初日は昼に讃岐うどん、夜は餃子と焼きそば。2日目の夜に、ちーちゃんはカルボナーラスパゲッティを食べました。完全に麺類に偏っていますが、他に食べるもの、食べたいものが、正直このモールにはないのです。ついでにショコラのクレープ、抹茶味のアイスクリーム、それから最後に買ったドーナッツと、甘いものもたくさん食べてしまいました……。ああ、おかあさん、怒ってなかった? でも、今回もたくさん外で遊んだから、カロリーを補給しないとですよね?

 

テントがこんなに楽しいとは!!

久しぶりにちーちゃんとボール遊び。

3日間とも天気に恵まれ、テントを張って、外で元気よく遊ぶことができたことが、何よりすばらしいことでした。買ったばかりのボールでサッカーができたこと、広い公園で追いかけっこをしたこと、テントで昼寝をしたこと、とっても楽しかったです。ちーちゃんは普段、ボール蹴りはしないそうですが、思ったところに上手に蹴れていましたよ。また、土にペグで掘った細い穴にココナッツを詰めてアリたちをおびき寄せ、ココナッツをはこぶアリたちの観察をしました。ランチで食べたドーナツについていたココナッツの粒です。こんなたくさんのアリも久しぶりに見ました。

 

ちーちゃんのたくさんの笑顔と声を聞いて、元気がでたゴールデンウィークでした。ちーちゃんも楽しい時間だったと感じているにちがいありません。次に会うまで、約50日もあいてしまいますが、きっと手紙を書きますね。来月はバレエの発表会。練習、がんばってね!