ちいさな洞窟

娘との日々

帰り道

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近所の写真。この道の奥のほうに幼稚園。逆に手前に進むとアイスクリーム屋さんを開いた場所に出ます。

 

「住んでいた家の近所の写真を撮っておけばよかった。」

そんなことを書いたエッセイか何かを読んだことがあります。その人は、引越しをした経験があったのだろうと思います。それで以前住んだ町を懐かしいと思っています。週末などに出かけた特別な場所ではなくて、過去に住んだ町こそが懐かしい、と。しかし当時は日常的だった風景なのに、よく思い出せない。いやむしろ日常だったからこそ、はっきりとは思い出せないのかもしれない。たしかそんな文脈で出た「近所の写真を撮っておけばよかった」だったと思います。

 

毎日見て、慣れ親しんだ風景のことをはっきりと思い出せない、というのは感覚として分かります。見飽きた風景は、ただの「背景」となり、メモリーを素通りしてしまい、消えてしまいがちです。

 

そして写真も、日常的なものを収めることはなかなかしないかもしれません。たしかに自分が住んでいる町をあえて写真に収めるひとは多くはないと思います。少なくとも過去に住んでいた家の近所の写真をアルバムに入れて保管するようなひとは少数派でしょう。

 

ぼくにはちーちゃんがいるから、ちーちゃんを被写体にした、近所の写真というのはたくさんあります。でも町そのものを写した写真はごくわずかのはずです。

 

そこで、近所の写真です。昨日、撮りました。写真の道の先には、あなたの通ったS幼稚園があります。坂のアップダウンが多い道でした。ちーちゃんとぼくは、この道を通って家に帰ることが多かったです。少し遠回りでしたが、お友だちと連れ立って、走ったり、空き地で寄り道して猫じゃらしを集めたり、アイスクリーム屋さんを開いたり(以前書きましたね)しました。

 

たのしい、たのしい、帰り道でしたね。